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[原題]Why Know-Your-Customer Rules Won’t Work With Bitcoin
原文記事: CoinDesk - Why Know-Your-Customer Rules Won’t Work With Bitcoin
著者: Ariel Deschapell  翻訳: fixer

KYCルールが何故、既存フレームワークで形成されたビットコインで機能しないのかをAriel Deschapellが実証し、教示しよう。

注釈:リンク:KYCとは ~ exBuzzwords用語解説
解説者:コンピタント株式会社
”KYCとはKnow Your Customerの略で、銀行に新規口座を開く際、銀行から要求される書類手続き等を相称して言う。
資金の国際的なフローがある中で、実在している個人、若しくは会社が口座を開設しようとしているか確認が必要である。
正体不明のものが口座開設した場合、その口座がマネーロンダリングに利用されていても、実態が把握できない。
昨今は秘密主義が原則のスイス銀行でさえ、必要あらば口座開設者情報を開示するとの動きがある。”



規制は、政府の支持によってビットコインを法令化することに関与し成長させるため、暗号通貨の世界の中で常に注目されている話題である。

これにはCircleのCEOであるJeremy Allaireが最近発言したことも含まれる:

“Bitcoin needs greater levels of governance around it. I do not believe this industry will grow without collaboration from governments around the world.”
ビットコインはその周りに、より高いレベルでの管理を必要としています。私はこの業界が、世界中の政府からの協力なしで成長するとは思えない。

Allaireは、その妥協案がプライバシーや政府のニーズ、政府当局の間から模索しなければならないことを強調した。

この意見は一般世論やウォール街、銀行の監視の中で業界が迅速に法令化され、成熟したビットコインを見たいという新たな業界参入者の大半によって反映されている。これはまた、未だコミュニティが多く抱える自由主義精神とは全くの対極の立場にある。

Allaireのように規制監視を強く支持する人々は、ビットコインが既存の規制の枠組みに組み込まれている必要があり、その最大限の可能性を実現するという事実を認識し、この議論が実用的なものであるということを容易に主張することが出来る。ビットコインは西武開拓時代のように参加自由なものではく、それよりも少し複雑なのではないかという懸念がある。

不可能なタスク

Eric Holder, 米司法長官 imagesouce:CoinDesk

政府が近い将来、暗号通貨を規制しようとすることを単純に取りやめることはまずないことは明らかだ。このことを念頭に置くと、彼等と戦う代わりに、伝統的な金融規制機関に従い、産業を成長させることを提唱するのは当然の流れだ。

このような態度は一見すると現実的に見えるが、全くもってそんなことはない。Know Your Customer(KYC)ルールは、既存フレームワークで形成されたビットコインが最高の無駄足であるという明確な例であり、非常に多くの論争を招くこととなる。

規制界の主要人物である米司法長官Eric Holderは、ビットコインについて発言した:

“As virtual currency systems develop, it will be imperative to law enforcement interests that those systems comply with applicable anti-money laundering statutes and know-your-customer controls.”
仮想通貨システムの発展に伴い、それらのシステムがアンチマネーロンダリングの法規を遵守し、KYCコントロールが可能であることが法執行機関の利益には不可欠です。

残念ながら、これはそれほど単純なことではない。ビットコインは第三者による介入を必要としない分散型システムであり、コントロールもしくは中央政府によって直接的に規制出来るものではない。

どの政府も管轄権を有する唯一のものは、KYCルールを適用するための境界内にあるサービスや為替取引所である。

KYCルールは、すべての顧客を識別出来るよう金銭関連サービス、そしてテロリストへの資金提供のためのマネーロンダリングによる兆候を見つけ出すための「不審活動」レポートを要求する。

伝統的な金融機関では、マネーロンダリングがかなり困難である(まず不可能だろう)。これはつまり、現在の金融システムと電子的な金融取引が相互に作用するためであり、銀行のように第三者の監視が容易なサービスを利用する必要があるからである。

規制のトレードオフ


しかしながら、ビットコインにおいてはそれは全く別の話となる。

世界中への個人によるビットコインの消費あるいは送金は第三者のサービスを必要としない。必要とされているのは、どこででもダウンロード出来るオープンソースのウォレットだ。

ビットコインを違法・不正な目的のために使用する人間は、規制された取引所やKYCルール準拠のサービスを容易に回避し使用することが可能である。

世界がビットコインを支払い手段として広く受け入れられるようになれば、効果的にマネーロンダリングを否定するような対策は何も取らず、KYCによる法令遵守を強制することとなる。そのことでビットコイン関連企業のランニングコストの上昇に拍車をかけるだろう。

このコストが増加することで最も影響を受ける人々は、銀行や大企業のように豊富な法務部門を持っていない駆け出しのスタートアップ企業となる。これは常に技術革新を妨げ、そして必然的に海外へも影響を与える。さて、このトレードオフに価値はあるのだろうか。

尋ねる人次第では、伝統的な金融機関にとって非常に有効であると答える人もいるだろう。しかしながらビットコインにおいては、その図式は遥かに鮮明だ。誰でも素早く、安価に、そして機関の監視なしで地球上どこでもお金を動かすことが出来るようになっている。

これまで発明された他のツールと同様に、ビットコインは有益・悪意の両方の動機によって使われ、彼等がそれを行うことに対し中央政府は何もすることが出来ない。元には戻せないのだ。本当の問題は、政府がこの新しい現実を受け入れた上で適切な計画をするか、継続して戦い続けるかどうかにある。

規制機関は、現在の規制の枠組みにビットコインを収めることが出来ない。このふたつは単純に相性が悪く、そしてそれはコミュニティの自由主義者の感情とは全く関係がない。これは、事実である。

現在の政府による監視の態度だが、伝統的な支払業関連の土台は、ビットコイン業界のための適切なルールを作成することがゼロからのスタートを意味するように、ビットコインでそれを再現することは不可能であるとしている。

思考の変化

image source:CoinDesk

規制当局は彼等自身に大規模な教育をし、成長過程に有る新たな経済圏が全く新しいアプローチを要求しているということに気がつく必要がある。彼等は議論し、何が出来るかを学び、何が出来ないかを学び、彼らが最終的に実現したいことを、そして社会全体のために議会の考えの結果の全ての費用と利益を分析する必要がある。

いくつかの業界リーダーやコミュニティの多くが、より妥協的な態度を取っているにも関わらず、懸命な法案の起草をするのは容易なことではない。私が以前書いた「ビットコインが全てを変える」に、政府による歴史的な金融システムの鉄壁制御について盛りこんである。

ビットコインに起因する管理水準の大規模な調整は、議論無しに行われることはない。どんな体系的に賢明なアプローチでも、米司法長官Eric Holderが政府の役割について考えるように大きな変更が要求されるからだ。

それは政府が監視すべきか再考するだけでなく、そこに監視能力があるかということも我々のテーマとなるだろう。それが技術革新への妨げとなり、マネーロンダリングへの影響が皆無であるとき、KYCルールを実施し民間の金融データを収集し続けることに如何なる正当性があるのだろうか。

これは既に全体人口のデータマイニングを多く行っているNSAのような大規模な政府機関に対し、世論がますます慎重になることを考慮すると特に重要である。

規制のプロセスに沿うことを促進する業界リーダーの熱望にかかわらず、それは恐らくは実に理にかなった法案作成のため、ひいてはビットコイン経済圏全体の実益のための長い政治闘争となるだろう。それは確実に、既存のルールにビットコインを当てはめようとすることではなく、実利を得るためにだ。

もし、暗号通貨が育ち続け主流の利用手段になれば、政治運動の中でもより突出した議題となっても、誰も驚かないだろう。そして、その時が経済に影響を及ぼし、政府の規制能力が問われることとなる。

的確な問い


その問いとは、政治家や規制当局はどのような反応を示すかである。彼等は伝統的な金融部門が抱える支配力を主張するのに絶望的な作業を続け、労力を無駄にし続けるのだろうか。このような態度は短時間だけの「正当性」を維持するのみで、ビットコインの助けにはならない。

もしくは、政府が積極的に新しい考え方に適応し、ひいては世界経済のため計り知れぬほどの恩恵があると、大規模な技術革新を押し出す手助けをするだろうか。

重要な問題は、ビットコインが規制を必要とするかどうかではない。それは何か。そして何故か。それは発生すべき実直で広範囲に及ぶ議論である。

この議論は大規模な波及を引き起こし、間違いなく全国、世界中のレベルまで発展し、この問いの重要性と影響力は、暗号通貨がなにもせずとも育っていくだろう。

私たちは、どのようにこれらの全てが展開するかを時間の経過によってのみ知ることが出来るだろう。ただひとつ確実なのは、世界がビットコインを必要とすることによって引き起こされる政治的なジレンマに関わらず、世界はビットコインに向けて政府による広い心によるアプローチを求めているということである。


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