原文記事: CoinDesk - Are Cryptocurrencies in a State of War?
著者: Blake Cantrel 翻訳: fixer
HD DVDとブルーレイの間にはどんな違いがあるだろうか。一言で言えば、片方は“敗者”であり、もう片方は“勝者”であるということだ。
2000年台後半、そのふたつの戦いはフォーマットウォーとして知られており、ショップ棚の上で起こっていた。さて、どっちが勝ったのだろうか。ここにヒントがある：あなたは、近い将来HD DVDでゼロ・グラビティを見ることはないだろう。
どの暗号通貨の熱狂者も、暗号通貨の枠にあるものは何でも、フォーマットウォーと同様に必ず単一のコインのみが勝者になるという事実に驚愕するはずである。
戦争支持論
もしあなたがこのような観点から暗号通貨のフォーマットをみなしているのであれば、ビットコインが最有力候補であることは明白だろう。いくつかのコイン - dogecoin, peercoin, litecoin - はそれに追随していくことになる。また、あなたが尋ねる人に応じて、競争に加えるべき他の正当な候補があるかもしれない。
不幸なことに、それらのコインの幅広さや多様性は暗号通貨の理念や目的を手助けするどころか妨げとなっている。HD DVDとブルーレイが業界標準になろうと躍起になっている時、双方の売上は壊滅的な打撃を受けていた。消費者はどちらかが敗者のフォーマットになるのだろうと慎重になり、それらのディスクもしくはプレイヤーを買うことを恐れていた。
もしこの考えが暗号通貨において当てはまるのならば、非常にたくさんのコインの有用性は、単一コインへの購入意欲を、特に非技術者の人々を阻むことになるだろう。結果的に、多くは日和見的なアプローチによる導入をすることになる。ひとつの暗号通貨が最上位に君臨し続けるような状態においては特に顕著である。
ALTCOINを購入対象とするのは極めて危険度が高い。もし単一コインを好んで購入するとすれば、それは間違ったものに賭けている可能性がある。もし、正当なコインの価値上昇のチャンスに賭けて複数銘柄を購入するのならば、それにかけた時間、労力、お金が近い将来無価値になる可能性もまたある。
したがってその場合は、極めて重要な文化的覚醒のようなものを掲げているというより、暗号通貨の未来を蔑ろにするためにALTCOINが造られているということになる。
これに伴い、現状のコインの多様性は進化によって上回られなければならないというステージの上にあるという点で議論されるべきであろう。暗号通貨を広義で見れば、私たちは人々に出来るだけ簡単に受け入れられるようにしなければならない。そしてこれは、ひとつのコインのみであることを意味する。
暗号通貨は戦争状態ではない
少なくとも私はその中のひとりではない。
私は暗号通貨の状態を真にフォーマットウォーとして見てはいない。真のフォーマットウォーとは、競合する技術が、相互に排他的でなければならない。HD DVDとブルーレイのケースでは、そのふたつの両方を選ばなければならず、もしHD DVDプレイヤーを買えばブルーレイの映画を再生することは叶わない。そしてそれは逆も然りだ。したがって、HD DVDプレイヤーとディスクを購入した消費者は敗者であり、ブルーレイプレイヤーを購入した消費者が勝者である。
暗号通貨のケースではそんな単純な話ではない。たとえ、市場を支配するようなコインが出現したとして（ビットコインが近い将来リードされ、負けるように見えなくとも）、それは決して真の勝者とはならない。ハードウェアとは異なり、単一のコインが過剰に大量販売されるようになると、出資者にとっては全くインセンティブとならない。したがって、多くの人々は複数コイン間でトレードが出来るのだ。
しかもこれは、あなたが本当の信者でない限り大言壮語に聞こえるかもしれないが、暗号通貨の市場はHD DVDとブルーレイで争っていた状態とくらべて更に大きくなっている。当時の市場は人々が自宅で高解像度で映画を観たがっていた市場だったというのにだ。
暗号通貨市場は皆が使っているお金も内包する。それは全てだ。加えて、お互いに排他的になることはないので、多様なコインが同時に、指数関数的に市場を大きくするよう作用する。そして市場間で、コインが特殊性やプロトコル、弱点や魅力などそれぞれのコインに与えられた様々な区分に応じる傾向がある。
何故この比較を問題にするのか
暗号通貨が同様の競争にないのであれば、何故HD DVDとブルーレイのフォーマットウォーを引き合いに出すことが重要なのだろうか。さまざまなコインが、勝者全獲得スキームで競わされているかのように、非常に多くの人々が暗号通貨を扱う。つまり、単一のコインが“優れている”と宣言し、その背後にあるサポートと熱意を投げ出してしまうのである。
真実は次のとおりである。
それは彼らのために優れたコインでなければならない。どの暗号通貨も同様の展望に置かれており、上記で述べたような周知の事実として誰かしらが扱っているということは、それはつまりひとつの株式を入手するためだけに支持する株屋と同様に愚かである。
株屋は一般投資の重要性を説くために彼ら自身の責任を負い、コインもしくはコインに関わる人々が選択した、使いたい暗号通貨であればなんでもその普及に努めなければならない。
暗号通貨分野の企業は、コインの多様性を仕事に取り入れなければならない。当然、ビットコインで見られる多くのケースのように単一コインでのビジネスをスタートさせることは理にかなっているが、彼らのビジネスモデルが浪費され枯渇しないよう恩恵を得るため、最終的には他のコインを包括するよう考えなければならない。
例を挙げると、採掘設備販売企業だ。彼らの多くは、たった今ビットコインマイナーへ向けて販売を行っている。しかし、いくつかの企業は複数通貨での採掘デバイスをリリースする見通しだ。
この手のビジネスは、ただひとつのコインというより、暗号通貨全体に渡って啓蒙と革新を模索し、そしてそれは暗号通貨の発展には不可欠である。そしてそのビジネスは、私たちの未来がひとつのコインには縛られておらず、コインの多様性というマーケット需要を抱えている。私たちアーリーアダプターはこの考えのもとに最初の搭乗者の一員となることを願っている。
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