原文記事:CoinDesk - How Bitcoin’s Technology Could Revolutionize Intellectual Property Rights
著者: Daniel Cawrey (@danielcawrey) 翻訳: fixer
ビットコインのブロックチェインは、デジタル通貨取引の元帳として使用されていることがよく知られているが、それは他の、より根本的な用途へのポテンシャルを秘めている - 今はただ模索されはじめているだけであるが。
Proof of Existenceというオンラインサービスは、どのようにしてビットコインが知的財産と法律の分野に大きな影響を与えるのかという片鱗を見せつけるものであり、もし効力があると証明できるならば、この新技術の力が金融の世界をはるかに超えたアプリケーションであるという一例となる。
初期の段階にあるにも関わらず、Proof of Existenceは、それが含む情報を明かすことなく、文書の所有権を証明し、また、文書が著された時期を証明し提供することが出来る。
検証の分散化メソッドを主とするProof of Existenceの創設者であり、アルゼンチン ブエノスアイレスに拠点を置くManuel Aráozは、暗号公証サービスの種類を説明した:
“As the block chain is a public database, it is a distributed sort of consensus, your document becomes certified in a distributed sort of way.”
ビットコインが公共のデータベースだとして、それはあなたのドキュメントが分散的に認証されるということであり、分散的な合意だということだ。
今日、ブロックチェインの展望が法的紛争の中に重要な証拠を提供するという意見はこじつけのように思えるかもしれないが、このような発想の飛躍は、世界中のデジタル通貨の開発者によって行われている作業と同じものである。
試験し、分散化し、デジタル証明をするOneNameやBitIDのようなプロジェクトは、たくさんの分散型システムの支持者が、例え未開発であっても技術の応用として自然と見なすことの出来るコンセプトである。
仕組み
Proof of Existenceでは、ユーザーがファイルをアップロードし、暗号化証明をビットコインのブロックチェインに含めて取引手数料を支払うことが出来る。実際のファイルはオンラインに保存されないため、利用者が望まない情報を公表してしまうリスクを負うことはない。
匿名で文書をアップロードし、ネットワーク手数料を支払った後、文書(あるいは他のタイプの電子ファイル)のハッシュは、トランザクションの一部として生成される。
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Proof of Existenceのウェブサイトは、最近アップロードされたファイルが持つブロックチェインのハッシュを表示している。 Image Source by CoinDesk |
これは実際の動作において、著作者や日付の問題が生じた場合は後から確認することができるという、ファイルの証明を格納するブロックチェインといった公開されており元帳のような性質を利用している。
「基本的には、トランザクションがブロックから発掘された時、トランザクション内にドキュメントの暗号ハッシュを挿入することで、そのブロックのタイムスタンプはドキュメントのタイムスタンプになる。」とAráozは言った。
タイムスタンプと同じく、Proof of Existenceもまたファイルが想定されたものであるかを確認する方法である。
Proof of Existenceは言う:「私たちが保存するすべては、ドキュメントを投稿した時間に紐付けられたファイルの暗号の要約書です。このようにして、後でデータがその時点において存在していたことを証明することができます。」
開発者らは例えば、発明家であればその時点で考えていたアイデアを証明することができ、著者は自分の作品を保護することが出来るコードのバージョンを後で確認するためのサービスを利用出来る。
そしてこれは、ブロックチェイン取引の最中に生成されたハッシュを経由して検証することが出来るとAráozは言った:
“You put the hash next to the download link and check the hash yourself. If someone compromises your server, a hacker cannot modify that.”
ダウンロードリンクの隣にハッシュをいれ、自分でそのハッシュを確認してください。もし誰かがあなたのサーバーに侵入しても、ハッカーはそれを変更することは出来ません。
トランザクションを出力しない
Aráozは、コードの一部あるいはドキュメントがある時点において検証されていること、ビットコインの元帳が完全に目的のために設計されていることを証明するための能力を与えられたサービスのための潜在用途があることを示した。
実際、ビットコインのブロックチェイン内に存在するスクリプト機能は、トランザクションが何の出力もないことを可能とする。これは、システムに入る少量のビットコイン(ブロックのトランザクションを承認するために0.0001BTCが採掘者に支払われる)は、受信者に送る必要がないことを意味する。
つまり、ブロックチェインにはドキュメントを確認するために必要な暗号計算を行わせる動機を採掘者に与える機能が組み込まれているということだ。
この機能は、単にBTCを移動させる以外の理由でブロックチェインを活用する鍵であり、この無出力デザインがまさに仮想通貨を超えた革新的なアイデアである可能性を秘めていることは明らかである。
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ブロックチェインの他用途への仕様は多くのトランザクションを作成し、更にビットコインネットワークに採掘利益をもたらすのだろうか。 Image Source by CoinDesk sourced via Blockchain.info |
デジタル財産の保護
この天性の可能性は、Proof of Existenceのようなソリューションの意味合いが、今日多くの投資家がビットコインの価格に執着し続けているよりも更に有益であろうことが期待できる。
Aráozの説明によれば、デジタル財産は知的財産とも考えることができ、ブロックチェイン技術は本来、デジタル財産の所有権を証明することも可能であるということだ:
“For example, if you are writing a paper or you have an idea for a patent, in some cases you need to prove that you owned the idea or the paper before someone else.”
例えば、もし、あなたが論文を書いているか、特許のアイデアを持っている場合、いくつかのケースでは、あなたは他の誰かではなくあなた自身のアイデアあるいは論文であることを証明する必要があります。
証明は、まさに金銭的な改革を包含するブロックチェインの可能性の一例だ。
事業投資家であるFred Wilsonはこれに興味を持ち、そしてこう言った:
“Right now you need someone to be the arbiter of identity – either Facebook, Twitter or Google [...] I think you could do the same thing with a block chain architecture.”
今現在、あなたは - Facebook、Twitter、あるいはGoogleといった - 誰かの身元証明を必要としています。私は、これと同じことがブロックチェイン構造により可能だと考えています。
ブロックチェインは人々に個人的なデータと所有権を与え、デジタルIDと財産権を証明するために役立つだろう。
Googleのような企業は、例えば利用者がそのサービスからデータをコントロールするための能力を促進している。Facebookは最近、サードパーティ製アプリケーションによる利用者データの漏洩を減らすために、匿名でサービスにログインするオプションを追加した。
ブロックチェイン技術が分散暗号信用システムに適していると同時に、しかしながら問題の事実は残っており、それらのサービス(GoogleやFacebook)は中央集権的であり、常にそうあり続けるだろう。
法整備が必要だ
サービスにより挙げられた問いとは、米国の法体制のような機関がどれほど迅速に公共検証と身元証明の新しいタイプを採用するか、である。
金融の世界でのビットコインの影響を把握するには多くの困難があることを考えると、ブロックチェインが実際の記録を保持することもまた困難であるということに気付かされる。Aráozは、これが現在の問題であることを理解した上でこう言った:
“So you can either pay for a notary, or you can use Proof of Existence. In practice, [the block chain] proves it. The thing is, it is not yet widespread enough so that it can hold [up] in court.”
つまり、公証人へ支払うか、もしくはProof of Existenceを使うかだ。実際にブロックチェインはそれを証明できる。それはまぁ、法廷で支持されていないから、まだ充分に普及していないってことだ。
しかしながら、それは受入れに係るすべてが、ブロックチェインがその時発生したことを証明する唯一のケースにおいて、有利な決定である。
これが起こった場合、ビットコインの総勘定元帳は文書の所有権やコンテンツ、あるいはソフトウェアのバージョン管理を証明する主流の方法として使用できる可能性がある。
米国での判決は、少なくとも法律上の観点からビットコインをより具体的に通貨として前進させていくというものだ。
昨年、テキサス州裁判所はビットコインはお金であるとの判決を下した後、証券取引委員会に、ビットコインのネズミ講として男を正当起訴する手段を与えた。
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証明システムとしてのブロックチェインの用途は明確に規制を要求するだろう。 Image Source by CoinDesk Q1 2014 Report |
このように多くの判決があり、そしてもし、裁判所がビットコインが紛れも無く存在の証明を可能とするような分散システムが好意的に見られるようになれば、究極的には現実世界や主流の機能としてのコンセプトであることの正当性を立証することだろう。
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